「岳道」と記す。歴史は神仏習合時代の名残が、伊勢に存在し、今もなお。神と仏が、市民の生活に脈々と生き続けている。伊勢はすばらしい。
伊勢と志摩を結ぶ、伊勢神宮内宮に程近い、旧逢坂越えから左へ、道をとる。今直、「土」の道が、伊勢志摩最高峰の朝熊山へ、昔風に言うならば、およそ2里の軽登山道が、非日常の風景の中にあって、「こころ」癒される。実に絶妙の距離で、山頂からは、伊勢湾、鈴鹿山系、アルプス、紀伊山系、太平洋と眺望できる。運が良いと「富士山」も見える。これがまた、絶景である。
朝熊山山頂から、東には幾重にも重なる稜線があって、その彼方で、海と出会う。太平洋である。神々の回廊、黒潮の熊野灘である。常世の海、豊穣の海である。まさに「神仏集合」の極地なのである。朝陽も神々しいが、日の入りも思わず「合掌」したくなる大自然の光景を見る。月も星も、手に取るように近い。宇宙の神秘、大自然への信仰の道が、今直、続く。
( 写真と文 たかだけんじ )