少しのひととき。降り続いた雨が上がり、風が吹き、雲が動いて、幾重にも重なる稜線が、黄金色に染まり、燃えた!凍てついた冬の風景に春のような風がもちこんだ「天地創造」の光景に息を呑んだ。目の前で展開する一期一会にまったくの無力となり、何処へレンズを向けていいのか判断できずに一刻一刻が流れて、まさに夢の中・・・
実は一日中、雨で暗い光景にずっと憂鬱だった。夕刻、一日も終わろうかと言う諦めのその時、見た西の空がまさかの展開になり、機材を車に放り込みお気に入りのポイントへ向かった。暮れには判断が遅くて、間一髪逃した「天地創造」を体験していたので、迷いはしたが、駄目もとで走って、間に合った。
伊勢には、まだまだ見たことも無い光景が存在した。一期一会の風景。その現場に立つということが、天命なのか、宿命なのか、運命なのか。魂をゆさぶる出会いが続くのである。