伊勢志摩彷徨 五十鈴川沿いを辿り、峠を越え、海を見た。
( 写真と文 たかだけんじ )
伊勢神宮界隈の「紅葉」は今が、旬。冬型の気圧配置が、冷たい北風を谷筋にも運んだ。木々が烈風に木の葉を散らし、道は落ち葉や枯れ枝で、埋め尽くされた。神宮林の峠路は昼なお鬱蒼として暗い。ここが、野生生物の宝庫なのである。水場や餌場では、鳥や獣がするどい声で、威嚇してくる。初冬の殺気だった気配が支配する。カモフラージュ無しで、野生にレンズを向けられる。
冬の風景なんだけれど。太陽がよく似合うのが、伊勢志摩。
峠は不思議なところである。小生は決まって「旅」への衝動にかられる。ただし、ふところの寒い「彷徨」は、ちと淋しい。で、喰うものだけでも「しっかり」摂ろう。で、若い頃は60数キロだった「体重」が90キロをなんなんとする「だるま」状態になった(笑)
峠から、海側は常緑の照葉樹林の低木がびっしり繁りと太陽に輝いていた。うって変わって、空が明るく、空気感も穏かで、温かい。まさに「黒潮」の回廊なのであった。潮の香と西の空に傾いた太陽があって、伊勢神宮の「にえ」の海が、今。黄金色に変わった。神の国、仏の国、伊勢志摩のひととき。おまわず「合掌」、、、。
( 文と写真 たかだけんじ )