「伊勢」の四季彩「冬ものがたり」。虫に食い尽くされずに
秋を越した冬色の葉があった。
冬は寒い。立ち止まっていると指先まで冷え切って痛くなる。
照葉樹林の森である。冬、一面の枯れ葉山が次から次へと積もる。山が森が木々が落ち葉が水が「生命」を再生させてゆく。それが四季、春夏秋冬。
朽ち果てる事もまた。次の生命への再生を助ける。枯れ果てた巨木の周りに太陽がふりそそぐ空が広がる。生まれ、育ち、死ぬ。それが次の生命を継承させる「意味」を持つ。
水をたっぷり含んだ森の枯葉の下で育まれた「生命」が今、降り注ぐ陽光にむかって、ちからのかぎり背伸びする。全てを凍てつかせる厳冬という季節があるからこそ、春に輝く。